今回の役はいつもと違うよ〜。 そんな話を聞かされてから行った今回の舞台「どん底 〜化け物達の晩餐会」。 ゴーリキ作の有名な戯曲を舞台でってことだったんだけど。学のない僕にとっては完璧にお初(この作品は黒澤明さんの映画にもなっているし、同じ沙織さん仲間のみぶさんからも舞台人ならあこがれる舞台だとは聞いておりました)。 そんでもって沙織さんの役はというと、「自由になりたい」という自分の欲望のために自分の妹を利用して自らも好いている男を殺人犯にしてしまおうとするとんでもない鬼婆の役。 沙織さんといえば、めちゃかっこいい役や姫の役、コミカルな役などほとんど愛される役回りがほとんどだったから、この役は本当に今までと間逆の役回り。 舞台のっけでの沙織さんは和服を纏った気品のあるご婦人といった感じで、そんなに違うって感じでもないかな〜なんて思っていたんだけど、物語が進むにつれてその演じている澄子という女がのり移ったかのようないろいろな顔が現れてきた。 好きな男に甘える女、嫉妬に狂う女、大家の婦人としての気品のある女、店子を罵倒する鬼婆、そして殺人を画策、それも自らの手を汚さないというとんでもないことを考え実行する女。 そんな役を美しい着物を着て演じるものだから、その怖さが余計引き立つ。 また、その姿だけでなく店子を怒鳴りつける声、嫌がる妹を追い掛け回す時の怒号。 まさに貴婦人の姿をした鬼婆がそこにはいました。 まあ、普段の沙織さんのおっとこまえっぷりは わかっているんでこのくらいどすの利いた声を 出せるのはわかっていましたけどね。 でも、舞台のラストで沙織さんの高笑いが 響いたのにはマジで背筋がぞくっっとしましたね。 舞台としてもなかなか面白かったですね〜。 戦争のさなか、それも広島を舞台にして どん底の世界を表現して、そのどん底の住人達を化け物として 表現して魑魅魍魎の世界を作り出して、まさにそこはどん底の世界。 舞台冒頭で大家の殺人を打ち出しておいて、犯人探しという興味で 観客を引き寄せていく。 ところどころででてくる駄洒落、ギャグも流石落語家さんらしく つぼをついたものになっていたとは思った。 それと、最後のネタばらしからのくだりは怖かった〜。 子供を殺された坊さんの恨み、何もかもを消し去った原爆、鬼婆の高笑い、全てを失った男の 咆哮。ずっと流れていたダイナも時代が出てて良かった 幕後の志らくさんのお話も気が利いていて良かった〜。 現在の日本は、見た目は良いかも知れば行けど本当はこの舞台以上にどん底ではないか。。と。 ただちょっと長かったかな。 途中の長屋のくだりは余計なものが多かったような気もする。 いろいろな布石だったのかもしれないし、僕がわかっていなかっただけなのかもしれないけど 初見ではわからなかったなぁ〜。 それにちょっと暑かった〜 |
|